台北 明萌 小さな湿布 大きな変化

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小さな湿布  大きな変化

 

文:台北  明萌

 

(日本語)訳・江愛寶、校閲・陳植英

 

 

日差しが優しく中国禅風の接客室の中に差し込んだ。ほぼ二時間座ったままの私は腰を伸ばしたが、師父の證厳法師は同じようにまっすぐ座っていたのを見た。八十五歲という歳でも上人は、精神を集中して弟子たちの話に聞き入っていた。私も思わず背筋を伸ばして、じっくりとその湿布の話を聞いた。

 

台南永康からきた李咨蓉(リー・ヅーロン)さんは、救済ボランティアとして七年の経歴がある。今年一月、彼女はある日、早起きして靜思堂で歲末祝福の活動に参加した。敬虔な彼女は、仏像の前に跪いて、娘の謝函穎(シェ・ハンミン)さんが慈済委員の養成講座に参加し、大家族の一員になるよう祈った。

 

あの日の午後、突然、娘から電話が来て、紀邦杰(ヂー・ボンジェ)医師に委員養成講座に参加することを承知した、と言った。親孝行な彼女は、お母さんの心願を叶えるために、忙しい医師の職務の中で、時間を割いてボランティアになり、人生の分秒を無駄にしないことを望んだのだ。

 

朝、祈ったばかりなのに、午後にはその効果が出たのである。彼女は菩薩の助力に大いに感謝し、大喜びだった。菩薩が応じてくれたのは、その素晴らしい出来事だけではなかった。

 

二年余り前、彼女は娘と一緒に台中人医会のルーツ探しの旅に参加し、花蓮の靜思精舍に帰った。活動が始まる前、ボランティアたちは笑顔でニ列に並び、證厳法師の到着を待っていた。

 

上人がゆっくりと車から降りて靜思堂に向って歩いて来た。長い隊列の中で、思いがけなく上人は、彼女の前に来て、彼女の左肘の湿布を見て、「手はどうしましたか?」と優しく聞いたのである。彼女は思わず、「手が痛いのです。もう長い間痛んでいます」と答えた。

 

上人はまた「あなたは帰って来て何の仕事をしているのですか?」と聞いた。彼女は「娘に付き添って人医会の活動に参加しています」と答えた。上人はそれを聞いて頷き、飄然と前に進んだのである。

 

師父のその心のこもった気遣いは、彼女をとても感動させたと同時に、師父の心ともっと近づいたと感じた。台南に戻ってから、彼女は勇敢にチームリーダーの役割を引き受け、一人で四大八法の各種活動を担い、人間菩薩の大募集を始めた。

「あの時の湿布捨てられず、ずっと宇宙大覚者像の前に置いてあるのです」

李さんは、それを見ると、上人が側で励ましてくれているように感じる、と言った。挫折や困難に会った時、その湿布は彼女に大きな力をもたらし、いつも瞬時にして労ってくれ、勇敢に前に進み続けることができるのだった。

 

娘の謝さんも喜んでこう言った。「あの湿布は母にとって重大な意義を持っています。それは上人の愛護と肯定を代表しているのです」。あの日は人医会の活動だったが、上人はあのような些細な事にも気が付き、その思いやりは母娘二人を感動させずにはいられなかっ。

 

一粒の種子から無量の種子が生まれ、一枚の湿布から無量の情が生まれる。李さんは本来、単純なボランティアになろうと思っていたが、思いもよらず、「湿布」の出来事で、彼女は大いに発心し、より多くの慈済志業を引き受け、群眾に混じって自利利他を行っている。そして、彼女の娘も大いに親孝行心を起こし、彼女と一緒に菩薩道を歩んでいる。これは本当に円満な結末である。

 

この不思議な湿布は、負傷者の肘に貼るだけでなく、時空を超えて師徒三人を堅く結びつけているのである。小さな湿布が大きな変化をもたらした。奇蹟は本当に起きたのだ!

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