菩薩が導く 高い塀の外の青空
文:吳秀玲
(日本語)訳・江愛寶、校閲・陳植英
「上人が慈済を創造してくれたことに感謝しています。私は帰る道を見つけることができたからです」。
心温まる座談会で、阿順さんは以前のでたらめな人生に対して、上人の前で懺悔しました。そして、その一言一言が心の中で感謝の気持ちとなって広がりました......
2021年12月31日、上人が行脚で台南に来た二日目、ボランティアたちはその師弟間の貴重な時間を大切にしました。
「覚有情」チームは早朝から会場に来て、上人とこの一年間、チームが台南刑務所に行って、法や愛で以て、過ちを犯した受刑者を諭したり、付き添ったりした話を分かち合いました。ボランティアの愛で目を覚まし、更生した菩薩の阿順さんも会場に来て、上人から祝福を受けました。
「每回、『世の中に悪人はなく、ただ過ちを犯しただけです』と言う上人の言葉を伝えると、人生に絶望した彼らは、暗闇の中に一筋の光を見い出したようになり、再び希望を持つようになるのです」。ボランティアの王黃銀修さんは刑務所に行った時の心境をゆっくり語りました。彼女はその慈悲深い菩薩心で、彼らが人生を取り戻すことを望んでいるのです。
私たちは、チームが教える法の內容を充実させるために、2017年から、屏東ボランティアと一緒に屏東拘置所に行って勉強し、その後、台南刑務所で奉仕し始めました。真心を込めた寄り添いの外に、クラスでは仏法の理解、絵画、音楽など多様な学習によって、少しずつ受刑者たちの心の中に入るようにしました。
また、私たちは高肇良師兄を招き、彼は自分の経歴を明かして、教え諭しました。曽て誤った道を歩んだ高肇良さんは、自分の「白色に戻った人生」と題した話をし、受刑者たちに、後悔して改める心さえあれば、誰もが彼のように黑色から白色の人生に反転させることができる、と言いました。
ボランティアの情のこもった真心は、次第に刑務所の所長から支持を得るようになりました。2018年ボランティアは、刑務所で歲末祝福会を催すようになったでけでなく、所長はボランティアが、「家庭宗教日」に受刑者とその家族が面会する時に、何か活動を行ってくれるよう望みました。
「私たちは受刑者たちに、年長者の足を洗って、お茶のもてなすことで、慈済の人文を活動に取り入れました」。一部の男性受刑者は初めは上の空でしたが、膝まずいて身內の足を洗った途端、心が柔らかくなりました。そして、抱きしめた時、ポタポタと淚が落ち、心の底にあった愛と後悔も一滴ずつ呼び覚まされたのです。
「『三昧水懺』が私に因緣果報の道理を理解させてくれました」。上人の法が過去に薬物を使ったことで、刑務所を出入リすることが日常のようになった二十年間の人生を無駄にした阿順さんは、翻然として悔い改め、因果と業力の恐ろしさを知りました。
彼は2021年5月刑務所から出所し、付き添いのボランティアは彼を徹底的に薬物から遠ざけるために、わざわざ台南に家を用意し、建築現場の型枠の仕事を用意してあげました。重労働ですが、心から過去と別れを告げ、お母さんを世話して、孝行したかった彼は、甘んじて引き受け、喜びに浸りました。
ボランティアが愛でもって善に導き、今では、阿順さんは仕事が安定し、休みの時はリサイクルステーションに来ると共に、養成講座に参加し始め、お母さんからも許しをもらいました。
「型枠の仕事は大変ですが、、師兄はずっと励ましてくれています。この道を私はしっかり歩いて行きます。過去の過ちは過ちであり、今はただ、「お年寄り」に対して償いたいだけです」。彼の言う「お年寄り」とは、何度も許してくれたお母さんのことです。その心からの懺悔は居合わせた人々を感動させました。
上人はしきりに頷いて関心を寄せ、「家にいるのはお母さんだけですか?」と聞きました。
「絶えず償うことです。過去は過ぎ去り、心に留める必要はありません。お母さんに孝行するのは天地不変の道理です。すべきことをしなさい!」お父さんが既に亡くなっていることを知って、上人は慈悲深く、彼を励ましました。